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9.12020
自筆証書遺言の検認手続き

自筆証書遺言の検認手続き
2020年7月より、自筆証書遺言の法務局での預かり制度が始まりました。
法務局で預けた遺言書には、裁判所による検認手続きが不要ですが、まだまだ自筆証書遺言を自宅に置いているという方もいらっしゃると思います。
そのような遺言書が見つかった場合は、裁判所に検認手続きを申し立てなければなりません。
自筆証書遺言の探し方
自筆証書遺言については、被相続人の自宅や部屋の中から重要なものが保管されている場所を中心探していきましょう。
貸金庫に保管しているケースもありますが、貸金庫を空けるためには銀行で相続手続きが必要になり時間がかかるため、自宅を探して見つからない場合は、遺言書はないものとして進めていく方がいいかもしれません。
自筆証書遺言は開封してはいけない
自筆証書遺言が封筒に入っている場合は、開封をしてはいけません。相続人全員の合意があったとしても、開けてはいけません。開封をした場合、過料の制裁を受ける可能性があります。
【民法1005条】
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所以外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処する。
自筆証書遺言の検認手続き
公正証書遺言以外(自筆証書遺言・秘密証書遺言)は、家庭裁判所の検認の手続きが必要となります。
検認することにより、⓵検認日後の偽造、破棄の防止とすること ②相続人全員に対して遺言書の存在を周知させることが目的です。
検認を受けていない遺言書では、預貯金や不動産登記の名義変更の手続きはできません。
申立てを行う家庭裁判所 | 被相続人(遺言作成者)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所 |
申立人 |
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申立てに必要な費用 |
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申立てに必要な書類 | 1 検認申立書
2 遺言者の出生から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍謄本) 3 相続人全員の戸籍謄本 *相続人によっては必要書類が変わるので、事前の確認が必要。 |
相続人全員の戸籍謄本
遺言書に指定される相続人がひとりだけだということが分かっていたとしても、申し立てには、法定相続人全員の戸籍謄本が必要となります。
実際にあった例です。
- 80歳女性A(ご主人なし・子どもなし・両親なし・兄弟BCDは既に死亡・法定相続人は姪甥EFGHI)
- 自筆証書遺言の中の相続人は姪Eのみ
- 相続財産は500万円
➡
このようなケースで、検認手続きに必要となる戸籍は
- 80歳女性の出生から死亡までの戸籍謄本
- BCDの死亡が確認できる除籍
- EFGHIの戸籍謄本
もらえもしない財産の検認手続きのために、FGHIは戸籍を取らなければいけないのです!
このように、自筆証書遺言の検認手続きは、とても面倒なケースもあるので、やはり公正証書遺言をきちんと作成した方がよかったなと思わされた例でした。
検認手続きの流れ
⓵勝利を揃えて、家庭裁判所に申立て
②提出書類に不備がなければ、申し立てから約1ヵ月後には家庭裁判所から相続人全員に検認の期日が郵送で送られる(申立人以外は、出席しなくても検認される)
③検認当日
申立人は遺言書と印鑑を持参。出席した相続人と家庭裁判所の職員の立会いのもと遺言書を開封し日付・筆跡・署名・本文を確認した後、検認調書が作成される。
相続手続きのために別途検認証明書の発行の申請が必要。
④欠席した相続人に、検認の終了通知が送られてくる。
公正証書遺言が望ましい理由
検認手続きには早くても1カ月かかります。
預貯金の口座などは、被相続人の死亡を知ると凍結されてしまうため、その口座からの預金の引き出しや支払い、引き落としはできなくなります。
検認の手続きに時間がかかり、数カ月相続手続きが滞ってしまうと、残された相続人(例えば家計を共にしていた妻など)の生活に支障が出てしまう可能性もあります。
スムーズに相続手続きを進めめるためにも、自筆証書遺言ではなく、公正証書遺言を作成した方が望ましいのはこういう理由からです。
公正証書遺言があれば、検認の手続きを省略でき、また遺産分割協議も不要のため、相続開始後すぐに相続手続きに移ることができるのです。
また、上記の例のように、ひとりの相続人Eだけに相続させる内容の場合、Eが無理やり書かせたのではないか、あるいは、被相続人の認知機能はしっかりしていたのか、ということが問題となり、親族間で揉めることも想定されます。
公正証書であれば、公証人と証人2名が被相続人の認知機能に問題はないという観点で見ていますが、自筆証書遺言の場合はその証明がしずらいため、後から問題になりやすいわけです。
それでもどうしても自筆証書遺言を作成したいのであれば、「認知機能に問題がない」という医師の診断や遺言書を作成した時のボイスレコーダーを残すなどした方が、後の不要なトラブルを減らすことになります。
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