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11.252019
親亡き後問題

障がいのあるお子さんをお持ちの親御さんにとって、自分の亡き後の子どもの生活は最大の関心事であり心配事であることでしょう。
遺言書がない場合は、遺産分割協議というものが行われるという記事を書きましたが、認知症や精神障がいのある方など行為能力のない方が相続人にいる場合は、遺産分割協議を行うことができません。
行為能力のない人が法定相続人にいる場合は、次のよう対応がとられることになります。
①成年後見人をたてて遺産分割協議を行う。
②法定の割合で遺産を分割する。
①成年後見人をたてて遺産分割協議を行う
家庭裁判所に申立てし、成年後見人を立てて、遺産分割協議を行います。
行為能力のない方の財産管理をしてもらえるようになることに対しては、大きなメリットもありますが、デメリットも多くあるため、遺産分割協議だけのために成年後見人を申し立てるのはよく考えてからにしましょう。
<デメリット>
●手間、時間、費用がかかる
●希望した人が後見人になるとは限らず、裁判所の選任した第三者がなった場合は費用がかかる。(遺産分割協議のために成年後見人を立てるのは、利益相反になるため相続人がなることはできない)
●遺産分割協議が終了しても、成年後見人を解任することは基本的にできず、亡くなるまでずっと費用がかかる(財産によるが月に3万程度)。
②法定の割合で遺産を分割
法定通りの割合で遺産を分割します。
不動産が共有となるので、なるべく避けたいとされる方法です。
行為能力のない子どもがいる場合、遺言書は不可欠
遺言書があれば、上記のような手続きなく、相続がスムースに進みます。
また、障がいのあるお子さんに多くを残したい、あるいは、そのお子さんの面倒を見ることを条件に他の子どもに多く相続させたいという希望を通すこともできるでしょう。
いずれにしても、障がいのある子どもが一生困らないように、①身上監護 ②経済的支援 ③財産管理など、様々な面からのサポートが必要となります。
親が元気なうちから敢えて成年後見制度を利用する
親が元気なうちは、行為能力のない子どもの財産管理も親が行っているでしょうが、親亡き後は、成年後見制度を利用することが多いと思われます。兄弟が面倒をみるというご家庭もあるかもしれませんが、あまりに荷が重いともいえるでしょう。
自分が亡き後、突然選任された成年後見人がうまく引き継いでくれるのかも心配なところです。そのようなことに備えたいなら、ある程度元気なうちから、子の成年後見人を選任してもらい、自分の目が黒いうちから、これからお世話になる後見人と関係性を作り、人柄を見極めておくというのもひとつ安心材料になるかもしれません。
行為能力のある子であれば、任意後見契約を
障がいのある子であっても、行為能力があるのであれば、親が生きているうちに、子の任意後見契約を結んでおくというのもよいかもしれません。任意後見契約は、認知症など判断能力がなくなったと判断されたときにはじめて発動される契約で、任意の誰かを受任者として結ぶことができます。裁判所で任命される成年後見(法定後見)とは違って、兄弟を含め、信頼できる第三者を自由に設定することができます。
遺言書や任意後見契約のサポートは高田馬場のひろせゆき行政書士事務所へ
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